4月に新東名秦野区間の開業前の様子を見に行きました。例のごとく直前にしか見ることのできない光景で、晴れた日もこの一日しかなかったのですが、かろうじて見れました。上の二枚はミラーレスで撮影。

約3年ぶりに大判も持ち出したのですが(新名神三重区間以来)、現像結果は惨憺たるものでした。フレアや光の漏れ、内部での乱反射が想像以上。構えて押せばなんでも上手く写るデジタルに慣れてしまって、暗箱の中で光を操作する全く異質な作業であることが経験から抜け落ちていたようです。光の扱いというのは無数の不安定なファクターがあり、どうしても全ての要素をコントロールしきれない、しかも間が空いて久しぶりとなると尚更でした。

ともあれ、一年前には建築途中の土手を見ていたので、短期間でよくここまで変貌するものだと感心してしまいます。低い位置にある照明が独特で、夜景もなかなかでした。

(↓ちなみに、フィルムによる画像。虹色の乱反射、全体のセピア調の色被りなど。最近は材料費の高騰で一枚当たり異常なコストがかかるので、一構図一枚が基本。失敗したら諦めるしかありません)

 

実家にあった「写ルンです」、撮影から二十数年を経て現像に出してみた。

何かのきっかけで(現像代が無いなど?)箪笥にしまったままになり、そのまま忘れてしまい、その後もたまに見つけて思い出したものの現像に出すまでに至らず。5年前に実家から持ち出して現像すると決めたものの、こちらでも先延ばしをしてしまい、結局現像まで25年以上もかかってしまった。先延ばし癖もここまで来ると我ながら感心する。

中学2年のころに使ったもので何を撮ったのかもだいたい覚えている。最後の方のコマは松江の修学旅行で使い、一畑電鉄や引率の先生などが写っているはず。

受付の人によれば「同様の依頼はたまにあるが、像が出てくる可能性は低い」とのこと。保管していた実家の二階は夏場は室温が上昇しやすかったので、ダメになっている可能性も高い。像が出ればもうけもの、という形でお願いすることにした。

結果は一週間後ですが、わかり次第こちらにも書きます。

 

 

 

「電線絵画」展

f:id:tatami2009:20210411101616j:plain

f:id:tatami2009:20210417003715j:plain

 

先日、練馬区立美術館で「電線絵画」展を見てきた。
再び松田さんと一緒に。

 

以下、感想。

・まず、電線とは何か?電柱とは何か?という用語の定義が最初にあった。新しい試みでは展示の仕方も手さぐりになっていて興味深い。

・さいしょ、「電柱絵画展」とかってにタイトルを勘違いしていた。正しくは「電線絵画展」。微妙な違いだけれども、注目する対象が微妙に異なってくる。
・電線は電柱と共にある。
・電線と鉄道の関わり。当初から鉄道と電線は並行して作られていた。日本最初の鉄道(新橋~横浜)の錦絵にも鉄道沿いに電線がある様子が描かれている。
・2003年の「鉄道と絵画」展にも出されていた絵画がいくつもある。
・電柱・電線はマッス(量塊)というよりもシルエット(影絵)としての魅力。

日本碍子の博物館から借りてきた碍子を陶芸美術品のように展示するコーナーが面白かった。文脈を変えてみると博物館の収蔵品が違うものに見えてくる。

 

帰宅したら『アニメ建築(原題:Anime Architecture)』という本が届いていた。ドイツ人のキュレーターStefen Riekelesという人が、80年代以降の近未来SFアニメの背景美術を、「未来都市の建築」という観点で編集・解説したもの。洋書が先に出ていたが*1、テーマがどストライクな本なのでとても気になっていた。今年になってから廉価な日本語版が出るということで、発売前から予約しておいた。

 

AKIRAからパトレイバー攻殻機動隊など、作品の枠を超えて連綿と受け継がれるアニメの「建造環境」が浮かび上がってくる。出版物として纏めるにも、版権処理には相当な手間がかかりそうで、日本人でないドイツ人の筆者だからこそ出せた本と言えるかもしれない。2000年代のエヴァンゲリオン新劇場版の背景レイアウトも入っている。


さらに、庵野監督がかなりの量を撮影・収集しているという電柱と電線の写真の一部が掲載されていた。2006-2008年のものが十数枚*2。おそらく何かの媒体ですでに発表されていると思うけれども、自分は初見であった。このまま映画のカットに使ったであろうコマもいくつか見られる。資料と言う割には本格的な撮影で、庵野監督の撮影技術への造詣の深さを推し量ることができる。映画のスチル写真を意識しているようであった。

 

電柱の美学を論じるにあたって、とくにここ20数年は庵野監督の作品の影響は無視できないというのは、自分の周辺の世代では半ば「常識」である。しかし、「電線絵画」展にはそっち方面にはとくに言及はなかったのが少々気になった。展示後半を占めていた山口晃氏などの近年の作家が意識していないはずはないと思われる(つまり、明治以来の近代の象徴としての電柱が、現代の作家に連続的に継承されてきた、という歴史観には同意しかねるということである*3)。そのあたりのモヤモヤも、この『アニメ建築』の本がうまく「補完」してくれた。

 

「電線絵画」展は、今週末18日がラスト。この記事を書いてる時点であと2日あるので、興味のある方は見に行っておいていいでしょう。

 

(ところで、ブログで記事を書くのが久しぶりすぎて、どのように書いていたのかをさっぱり忘れてしまった。たどたどしい文章しか出力できなくなっている。昔は溢れるように文章が出てきたのだが・・・脳の使い方の習慣が変わっているというのはあると思う。画像やイメージにこだわり続けていると言語領域がすっかり休眠してしまう)

 

*1:昨年秋に出版されたハードカバー本なのに、すでに119件もレビューがある。https://www.amazon.co.jp/Anime-Architecture-Imagined-Endless-Megacities/dp/0500294526

*2:2020年代の今から見ると電柱や街並みもどことなく懐かしさがある。電線や電柱の素材も日々進化しているからだろうか。

*3:また、戦後の高度経済成長期以降、電柱が風景の美観を損なうものとして嫌われていく過程というのも提示しないと山口晃氏の作品の意義も十分に理解できないのではないだろうか?

f:id:tatami2009:20210202144300j:plain

 f:id:tatami2009:20210202153055j:plain

少し前の2月ですが、熊本で開通直前の新阿蘇大橋を見てきました。今回はデジタルカメラのみを持参しています。フィルムの時より荷物が劇的に軽くなり行動の自由度が上がりました。iPadも持参し屋外で撮影データの確認をするなど、デジタルならではの取材の仕方を試してみました。

上の二枚は南北の対岸から見た新阿蘇大橋。1枚目のほうは特徴的な地形がよくわかる場所で、二つの河川(黒川と濁川)がここで合流しています。右にあるのは長陽大橋で、阿蘇大橋が熊本地震で崩落し不通になってからう回路として使われていました。また、拡大しないとわからないですが、黒川の河川敷には地震で崩れた旧阿蘇大橋のものと思われる鉄骨が散らばったままになっています。

2枚目は北側からですが、地面をコンクリートで固めている様子が見てとれます。工事中はここに斜行エレベーターが設置されていたとのこと。

反省点としては、当日の風が強く、風圧と寒さのため思ったほど歩き回れなかったことでしょうか。とくに東側の橋のたもとが工事中のため遠慮して行かなかったのですが、東側からは橋脚の根本にある柱状節理が見られるそうで、次の機会に行きたいところです。

新東名の工事現場つづき。

工事区間では最大の見せ場となる河内川橋梁の建築現場。巨大な鉄骨造りのインクラインが東京側に構築されていた。クレーンは両岸に二基ずつ設置されている。正月休みなので同じ方向を向いて行儀よく並んでいた。

f:id:tatami2009:20210102151145j:plain

f:id:tatami2009:20210102151755j:plain

 

西側は橋脚ができつつある。冬の日は傾くのが早く、すっかり影に。山肌がかなり黒つぶれしてしまう(ミラーレスを導入してから日が浅いので、使いながら特徴を掴んでいくつもりです。このブログも現像ソフトの習熟目的も兼ねて開設しています)。

f:id:tatami2009:20210102151714j:plain

 

以下は、NEXCO中日本の公式HPより。インクラインのさらに上空からドローンで撮影。工事の全体像がわかりやすい。

https://www.c-nexco.co.jp/corporate/operation/construction/progress/popup.php?construction_section_code=hatanogotenbaic&no=3

某日、工事中の新東名を見に御殿場方面へ。レンタカーでほぼ日帰りの強行軍。外に撮影に出るのは新名神の三重以来1年9カ月ぶり。

道路の建設工事というのは、基本的に工事事務所が出しているプレスリリースくらいしか情報がなく、現場の具体的なイメージを事前につかむのが困難です。Google Mapのような地図サービスでも更新が追いついておらず、空き地や森林のままだったりと、いわば情報の空白域になっています。結局、今の現地の状況を知りたければあれこれ地図で推測するよりは現地を見に行ったほうが早いというわけです。  

工事中の道路というのはこれまで真剣に取り組んだテーマではないのですが、ここ数年高速道路の完成形を見てきたこともあり、とりあえず見に行くことにしました。開通は2年後だそうですが、完成に近い工区もあれば、ほとんど手つかずの工区があるなど、場所によって差があるようでした。

f:id:tatami2009:20210102111641j:plain